先日、『半沢直樹』の再放送をやっているチャンネルに偶然切り替えてそのまま観始めた。半沢が東京第一銀行本行から引き揚げようとし、いくつかのバロック風の巨大な柱を通りかかったシーンがあった。ルームメイトが話しかけてくれた。「こんな綺麗な建物って台湾では少ないよな。」 どうしてか、わずかでありながらもはっきりと怒りを覚える自分がいた。「違う、日本こそ、大正と昭和時代の建物ってほとんどが戦争で焼失したんだよ。逆に台湾のほうはたくさん残っている。総統府近くの台湾銀行もそうだし、二二八公園のとなりの土地銀行もその一例だ。」と、眉をひそめながら早口で軽く反撃したが、なぜ必要以上に興奮しなければならないのか自分でもよくわからなかった。 たぶん、寂しがっていると思う。その建物たちが。綺麗な形のまま、生きた時代の重さと思いを抱えてこの街に今でも点在し、表情も声もちゃんとしているのにもかわわらず、人々にはなかなか届かない。 それほど語っているのになー。残ってくれるのって奇跡なのになー。と思ってしまう。 でもルームメイトには非はなかったな、八つ当たりしちゃったな、とも思う(笑)